防災グッズ、何から揃える?賃貸でも費用を抑えおしゃれに備える基本とステップ
家族の安全を守るため、防災グッズの準備は大切であると理解されている方が多いことと存じます。しかし、「何から始めれば良いのか」「費用が気になる」「賃貸マンションなので大がかりな対策は難しい」「防災グッズは味気なく、収納場所に困る」といった具体的な課題に直面し、なかなか一歩を踏み出せずにいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このページでは、防災初心者のご家族向けに、費用を抑えながら、賃貸住宅でも実践可能な、おしゃれで機能的な防災グッズの揃え方をステップバイステップで解説します。ご自身のペースで、無理なく防災準備を進めるためのヒントとしてお役立てください。
1. まずはここから!最低限揃えたい「非常持ち出し袋」の基本
災害発生直後の命を守るために、まず準備すべきは「非常持ち出し袋」です。これは、自宅が被災し避難所へ向かう際に最低限必要となるものをまとめたものです。すべてを完璧に揃えようとすると費用や時間的な負担が大きくなるため、まずは必要最低限のアイテムから準備を始めましょう。
1-1. 非常持ち出し袋に含めるべき主要なアイテム
- 飲料水: 1人1日3Lを目安に、3日分程度。ペットボトル水を複数本用意します。
- 非常食: 3日分の栄養補助食品、乾パン、缶詰、レトルト食品など、調理不要で長期保存可能なものを選びます。
- ラジオ・懐中電灯・モバイルバッテリー: 情報収集、夜間の明かり確保、スマートフォンの充電に不可欠です。手回し充電機能やソーラー充電機能付きのもの、USB充電対応のものは普段使いも可能です。
- 簡易トイレ・生理用品: 災害時の衛生環境悪化に対応します。
- 常備薬・救急用品: 絆創膏、消毒液、包帯、持病の薬など、家族に必要なものを揃えます。
- 貴重品: 現金、印鑑、健康保険証のコピーなど。
- 防寒具: 寝袋、ブランケット、雨具などは体温低下を防ぎます。
- その他: マスク、ウェットティッシュ、軍手、タオル、筆記用具、ゴミ袋など。
1-2. 費用を抑えるポイントと賢い選び方
非常持ち出し袋の中身は、必ずしも専用品である必要はありません。 * 普段使いできるものを活用: モバイルバッテリーや懐中電灯は、キャンプやアウトドア用品として販売されている、デザイン性の高いものを購入し、普段から充電を心がけておくと良いでしょう。 * 食品のローリングストック: 少し多めに買い置きし、賞味期限が近いものから消費し、消費した分を買い足していく方法です。これにより、常に新しい食料を確保でき、無駄を減らせます。 * 100円ショップの活用: 簡易トイレ、ウェットティッシュ、軍手、マスクなど、消耗品の中には100円ショップで手に入る品質の良いものも多くあります。これらを賢く利用することで、費用を抑えられます。
2. 段階的に充実させる!次に備えたい自宅の防災対策
非常持ち出し袋の準備ができたら、次に自宅での安全確保と、数日間自宅で生活するための備えを考えます。特に賃貸マンションにお住まいの方は、壁や設備を傷つけずにできる対策を意識することが重要です。
2-1. 賃貸住宅でも実践可能な家具の転倒防止対策
大規模な地震では、家具の転倒による負傷や避難経路の閉鎖が大きな脅威となります。賃貸住宅では壁に穴を開けられないため、以下の方法を検討しましょう。 * 突っ張り棒: 家具と天井の間に設置し、家具の転倒を防ぎます。様々なデザインや色のものが販売されています。 * 粘着マット・ジェルパッド: 家具の底面に貼ることで、地震時の揺れによる滑り出しや転倒を抑制します。目立たず設置できるのが利点です。 * L字型金具(釘不要タイプ): 家具と壁を粘着シートなどで固定するタイプもあります。 * 家具の配置の見直し: 寝室には背の高い家具を置かない、避難経路を塞がない配置にするなど、根本的な見直しも有効です。
2-2. 在宅避難用品の備蓄とローリングストック
ライフラインが停止しても自宅で安全に過ごせるよう、以下のものを備蓄します。 * 飲料水・生活用水: 1人1日3Lを7日分以上。お風呂の水を常に溜めておく、飲料水兼用のウォーターサーバーを導入するなども一案です。 * 食料: カセットコンロとその燃料、米、乾麺、レトルト食品、缶詰など、温めて食べられるものを含め7日分以上。 * 暖房器具・燃料: カセットガスストーブや毛布など。 * その他: 大容量の携帯トイレ、ゴミ袋、ラップ、ポリ袋(食器代わりに活用)など。
ローリングストック法は、普段から利用する食品や日用品を多めに買い置きし、消費したら買い足す方法です。これにより、常に新鮮な備蓄を保ち、無駄なく非常時に備えられます。
3. おしゃれに、普段使いもできる防災アイテムの選び方と収納術
防災グッズは機能性だけでなく、デザインや収納性も重視することで、日常生活に自然に溶け込ませることができます。
3-1. デザインと機能性を両立するアイテム
- ランタン・ポータブル電源: おしゃれなデザインのLEDランタンは、普段はインテリアとしてリビングに置き、非常時には明かりや充電器として活用できます。
- 多機能ラジオ: レトロなデザインやコンパクトなものを選べば、書斎や寝室に置いても違和感がありません。
- 防災セット: 最近では、リビングに置いても馴染むような、おしゃれな収納ケースに入った防災セットも販売されています。
3-2. 普段使いと兼用する「フェーズフリー」の考え方
「フェーズフリー」とは、日常時に使うものが非常時にも役立つように備える考え方です。 * ウォーターサーバー: 普段から利用することで、常に新鮮な飲料水を備蓄できます。 * アウトドア用品: ポータブル電源、寝袋、簡易コンロなどは、キャンプやピクニックで活用しながら、いざという時の防災グッズとして備えられます。 * 収納家具: ベンチ型の収納ボックスなどは、普段は座ったり物を置いたりする家具として使いながら、非常食や防災グッズの収納場所として活用できます。
3-3. コンパクトでおしゃれな収納術
- 見える収納: リビングや玄関など、取り出しやすい場所に置く場合は、デザイン性の高い収納ボックスやバスケットにまとめ、インテリアの一部として溶け込ませます。
- デッドスペースの活用: ベッド下、クローゼットの奥、家具の隙間などに、薄型の収納ケースや備蓄品を収納します。
- 分散収納: 全ての防災グッズを1箇所に集めるのではなく、リビング、寝室、玄関など、複数箇所に分散して収納することで、いずれかの場所が使用不能になった場合にも対応できます。
4. まとめ:できることから始め、家族で話し合う機会を
防災グッズの準備は、一度に全てを揃える必要はありません。まずは非常持ち出し袋の最低限のアイテムから始め、次に自宅での在宅避難対策、そしてデザインや収納を考慮した工夫へと、ご自身のペースで段階的に進めることが大切です。
最も重要なのは、ご家族で防災について話し合い、もしもの時の連絡方法や避難場所を確認しておくことです。このページが、ご家族の防災対策を始めるための一歩となれば幸いです。